今日のNHKのニュースに違和感。
http://www3.nhk.or.jp/ne…/html/20150318/k10010019831000.html
今日のNHKニュースでは「地価公示」の話題。7年ぶりに地価が「下落」から「横ばい」になったと報道し、特に3大都市圏(東京・大阪・名古屋)では商用地・住宅地両方とも上がったと報道。
金沢の地価上昇の理由は新幹線による特需。これは明確だから分かりやすい。
でも、他の地域は「外国人投資」が多くなり地価が上がったと報道している。
「外国人」と報道しているのだがこれがどこなのか。具体的にどの国かを明らかにしたのは、難波の食い倒れタウンを購入したのが香港の不動産投資ファンドであるとの話だけ。ここが引っかかる。
1.まず「外国人が日本の土地を買っている」との報道で外国人は誰なのか。日本人が一般的に思う外国人が誰だか分からないが、80年代までのステレオタイプな常識としては西洋人を指すだろう。しかし、現況はどうだろうか。日本に一番多く訪れている外国人は中国人であると言う事。そして、多くの中国ファンドが日本への投資を増やしているという他のニュースとも同時に考えるべきであろう。
(関連記事)中国の対日本投資は500%上昇
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA1H03B20140218
2.地価上昇の話題は景気回復をアピールする一つの方法であり、一つのバロメーターでもある。しかしながら、1.からして、もし「外国人」が中国からの不動産投資である場合、まさに韓国の済州島、そしてオーストラリアの二の舞になりかねない。
(関連記事) 中国との蜜月に悩む豪州 不動産投資に危機感
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO84033730W5A300C1000000/
3.済州島問題に関してだけを言うと、一番の問題は「地元にお金を落とさない」という問題。不動産投資ファンドが乗り込むだけなら良い、そこに実際住むのなら地元の経済活性化にも繋がる可能性がある。しかしながら、ファンドの目的は年々と増える中国人観光客に対してサービスが出来る場所を確保するための不動産投資目的である場合が多い。つまり、中国人観光客が訪れ、中国ファンドが運営するお店でショッピングをして、ご飯を食べ、ホテルで泊まるという構図が出来上がる。これでは地方活性化には繋がらないという懸念が高まり、実際に済州島ではそのような事態が起きている。
(関連記事) 中国人が済州都心のモーテルやマンションまで買い占め
http://japanese.joins.com/article/715/191715.html
4.済州島に中国人観光客が増えた一番の理由は、済州島は観光特区とされておりビザが必要ないためである。中国の経済発展で海外へ行く観光客が増え、もっとも近い外国である韓国、その中でもビザの必要の無い済州島に行く。それにあわせて中国ファンドが済州島に投資をして、3番で言ったようなサイクルが行われるのである。同様に、中国政府が中国の個人旅行者に対する規制を緩和した今年の1月から日本への観光客は急増している。日本のビザの用紙が足りない位であるとNHKは伝えているぐらいである。つまり、これらを見据えた中国ファンドが日本の不動産への投資を増やすという推論が出来る。
(関連記事) 中国人観光客急増でビザ用紙が不足
http://www3.nhk.or.jp/ne…/html/20150318/k10010020051000.html
5.もちろん、日本の不動産に投資するのは中国だけではない。例えば、北海道のリゾート地のニセコには、オーストラリアからの観光客を見据えた不動産投資が2000年代中盤の円安の時期に一時的に急増したケースがある。しかし、急増したとは言え、下記のJETROの報告書の様に10件位のほどである。西洋の投資家にとっては、遠く離れた日本の不動産はそれほどメリットがあるわけではない。
(関連報告書=PDFファイル)
https://www.jetro.go.jp/…/r…/05001141/05001141_001_BUP_8.pdf
6.NHKが「外国人」と表現した理由については、やはり日中関係を刺激する事無く、不動産を含めた投資を増やしてほしいと願う政治的な配慮があったとしか思えない。どこのマネーであろうとも金には顔はない。しかしながら、実際にはどのような投資が行われているのかを見極めないと、最終的には政治的な問題へと発展する危険性は高い。その時の国際問題は経済問題が絡むために、認識やアイデンティティーで争うより一層深刻になる可能性が高い。
…難しい問題だろうけどね。
まぁ、80年代の日本もヨーロッパやアメリカで似たような事をしてたので、盛者必衰、祇園精舎の鐘の声とな…。
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